第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
ということは、サルコーマ(肉腫)である可能性もあるってことか…
「なんらかのサルコーマだった場合は、俺の手に負えないから井ノ原先生へバトンタッチするから、翔がどれだけ関われるかはわからないけど…」
「はい!よろしくお願いします!」
急いで手帳に予約日をメモして、スケジュールを確保した。
「…しかし、こんなになるまでなんで放置してたのかね?」
「俺も気になって聞いてみたんですけど、ご家庭のことや仕事も忙しかったのもあるけど、痛くも痒くもないからつい放置してしまったってことです」
「ふくらはぎ二倍になってるのに?さすが元内科ナースだなあ。整形外科だったら症例見てるからそんなのんびり構えてらんないもんね」
「それ、他で言っちゃだめなやつです」
「そ?」
三宅先生はしーって人差し指を口に当てた。
「…あんまり見た目のことは気にしてなかったようです。制服もそうだけど、普段パンツスタイルが多いとのことですし」
「なるほどねえ…」
三宅先生はコンコンと机を指で弾きながら、ノートパソコンの画面を見つめた。
「ま、なんもないことを祈ろう。良性でもこれはでかすぎるから摘出したほうがいいだろうから、手術のことも念頭に入れておいてね、翔」
「はい!勉強しておきます!」
三宅先生に言われたことをメモして、週末は軟部腫瘍の勉強をすることにしてそれもメモしておいた。
メモしてから気づいた。
最近、スマホやタブレットをあまり触っていないなと。
充電のこともあるし手帳はポケットに入れて乱雑に扱っても壊れることがないから、こまめに充電もできない上にがさつで電化製品をすぐ壊してしまう俺は、最近は手帳に頼ってしまっている。
学生のとき、潤が手帳を持ってメモしてたのを呆れて見ていたのを思い出して、苦笑いしてしまった。
俺もアナログに逆戻りしてしまってる。
潤のこと、笑えなくなったな。