第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
次の日、三宅先生に能村さんが院内予約しているかどうか確認した。(前の日は三宅先生は非番だったから会えなかった)
「え?能村さんの?えっとね~確認するね?」
整形外科のスタッフルームのデスクで三宅先生はノートパソコンを開いた。
「ああ…週明けに入ってるね。職員診察。で?翔の見立ては?」
うちの病院の福利厚生で、職員はあらかじめ予約しておけば特別に勤務中に院内診察を受けることができる。
能村さんはその制度を利用して、三宅先生に予約を入れてくれた。
「井ノ原先生案件だと思いますが学会でいらっしゃらないので…」
「脊椎?軟部腫瘍?」
「軟部腫瘍です。右下腿、ふくらはぎの部分が異様に膨れています。触診はできていません。それ自体に痛みはなく、柔らかいということです。その状態になって既に6年ほど経過してるということですから良性のものと思われますが…」
「ふうん…6年ねえ」
「はい。最近では足首に痛みが出て歩行に支障がでているとのことです。それは腫瘍の影響があるのではないかと思いました」
その他、聞き取ったことを三宅先生に説明した。
三宅先生は顎に手を当てながら、うんうんと聞いてくれた。
「なるほどね。よし、翔も診察に同席して…担当してみる?」
「えっ…?いいんですか?」
骨軟部腫瘍はまだ早いって、ついこの前言ってたばかりなのに…
「いいよ。ただし良性だったらね…」