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Maria ~Requiem【気象系BL】

第19章 Epistle to the Galatians6:5-7


「わかりました…検査の追加オーダーなんかは?」

膝が曲がりにくいってことで検査をしていた患者さんだったが、まさか肉腫が潜んでいるなんて。スポーツをしているから、外傷にばかり気を取られていて骨肉腫の可能性を考えることができていなかった。

「それはこっちでやっとく。患者さんへの話もこっちでしとくから。症例の詳しい話は後でね?」
「はい」
「翔には明日の手術の患者さんの術後、全部任せるから。そっちしっかり聞いといてね」

でも…それでも、俺の担当した患者なのに。

「…はい…わかりました」

まだ専攻医の身分だから割り切ってはいるつもりなんだけど、少し不満げな声色になってしまった。

やばいと思ったが、もう遅かった。

そんな俺を見て三宅先生は笑ってる。

「翔、そんな不満?」
「え…いや、別にそうじゃないですけど」
「しょうがないでしょお?骨軟部腫瘍行く前に覚えなきゃいけないこといっぱいあるんだから…」
「わかってますって…」

現に今だって、抱えてる患者さんの症例だけでいっぱいいっぱいだ。
この上、骨軟部腫瘍の症例も…なんて言われたらもう手に負えないのは明らかだ。

そこまで行けるのは整形外科の専門医資格を取って、サブスペシャリティを選択してからだ。
だから何年も先のことになる。

「大丈夫…ごくごく初期だから命は助かるし、足の機能だって問題なく残せる」

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