第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
こんなことじゃいけないと(ちょっとは)思うんだけど、今はまだ専攻医なんだから仕方ないと諦めてる。
そりゃ将来的に家事はもうちょっとできるようになっておかないと、厳しいのはわかってる。
だから大学に在籍してる間は、できるだけ自炊をするようにしていたし、家事だってできることはやっていた。
でも研修医から専攻医になって、忙しさは段違いで。
家事なんて本当にやってる暇はないから、通いの家政婦さんに頼りっぱなしになってる。
久しぶりの風呂は体の芯に染みた。
「くぅぅ~…」
肩まで浸かりきって、顔をざぶりと洗う。
「あぁ~…」
まだ20代のはずなのに、俺の口からはおっさんくさい唸り声しか出ない。
それほど疲れている。
くったくたの、くた。
しかし俺なんかはまだいいほうだ。
通いだけど家政婦さんがほとんどの家事をやっておいてくれる。
大学の頃は家庭環境も似たり寄ったりの同期ばかりだったからそんなに気にもならなかったけど、研修医になったばかりの頃は、その違いに戸惑うことばかりだった。
苦学生をして国試にやっと受かってきた同僚は、一人暮らしの家事もしながら奨学金も返さなければならなく、副業もしていて体を壊して去っていった。
そこまでは行かなくても、俺みたいに家政婦さんを雇う余裕のない奴らは自分で家事もしなきゃならないから、やっぱり俺より疲れてる。