第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
そんな俺に両親は呆れていたが、異を唱えることはなかった。
というより興味がないと言えばいいのか…
今のところ、父親はまだ現役でこれから20年は院長として余裕で働けるだろう。
妹は婿でも取って母のやっている事務部長を引き継ぐだろうし、多分そうするよう言い含められているはずだ。
そして弟はまだ高校生だが、その20年のうちに立派な医師に育つであろう賢さはある。
だから俺がどういう方法で医師になろうが、あまり関係ないと言えばないんだ。
俺が医師になって弟と妹を支えていくという形に落ち着くのが一番いいと思ってるんじゃないかな。
「あー…腹いっぱい…」
腹が満ちたら、また眠りに引きずり込まれそうになった。
少しだけ椅子に座りながら天井を向いて目を閉じた。
さっきまでけたたましく震えていたスマホは、今は静かになっている。
連絡事項の送信が終わったんだろう。
今頃、上席の医師や同僚の専攻医や研修医たちは病棟の患者を見回っているはず。
それが終わったら、外来やら手術やらの準備をして…
「いかん。風呂、入んなきゃ…」
目を擦って立ち上がると、食洗機に食器をぶち込んで洗浄ボタンを押しておく。
いくら家政婦さんが来てくれるとは言え、毎日じゃないからこのくらいは自分でするようにしてる。
でも…
「あのときに比べたら、全然家事してないな俺…」