• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第3章 Mark 3:29









「やめろーーーーっ…」

息が苦しい
一体、ここはどこだ
暗い暗い部屋の中

奈落の底なのか

どうして俺はこんなところに

「智!?」

ガタっと大きな音がして、ドアから男が入ってきた。

「ねえ、どうしたの!?」


ああ…

あああ…




「俺…俺、翔…俺は…」

奈落なんかじゃない
ここは、奈落なんかじゃ…

「落ち着いて。智、息をちゃんと吐いて」

翔の冷たい手が俺の頬を包んだ。
その途端、猛烈な吐き気が襲ってきた。

「ううっ…うっ…」

思わず手で口を塞いだ。

「あっ…智っ…」

何も庇わずに動いてしまったから、腹に引き攣ったような激痛が走った。

「ぐ…ううっ…」
「どうしたの!?気持ち悪い?吐きそうなんだね?」

なんとか頷くと、翔は慌てて部屋を飛び出して洗面器を持って戻ってきた。

「ここで吐いていいから!上向いちゃだめだよ、詰まるから!」

俺の顔を横に向かせると、洗面器を口元に充てがった。

「さあ!我慢しないでっ」
「ううっ…ぐっ…」

吐きたいのになんにも出てこない。
なのにえずいてしまって、その度に腹の傷に響いてやばそうな痛みが走った。

/ 364ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp