第18章 Genesis1:1-5
やっぱりこういうことは、最初に直感で思った通り雅紀に任せるべきだった。
意地を張って、自分である程度やるとか思った自分を殴りたい。
結局、俺が2年掛かって少しもできなかったことを、雅紀は1年ほどで数倍の成果を上げている。
そりゃ俺だって、探偵を普通に雇ってやればできないこともなかっただろうけど。
ああいう奴らは後ろ暗い事に敏感だから、俺のほうがなんかボロをださないかってちょっと怖かった。
それを思うと友人に任せたとはいえ、俺のことを調べた翔は凄かった。
当時医大生だった彼は、俺よりも何倍も有能だったってことだ。
翔がやれたんだから、俺も簡単にできるのかもしれないって思ってしまったのが、全ての間違いだった。
「ふふ…」
ベッドに寝転がりながら、翔の不器用な指先を思い出した。
虚空に手を伸ばして、あのゆったりとした時間の流れた寝室の風景を思い出した。
そういえば、この借りてる部屋は…
少しあの部屋に似てるかもしれない。
「会いてーな…」
会えるわけ、ないけど。
それでも…
俺自身が調べて判明したことで、特大の成果はあった。
それが、あの会社の人間があの事件に関係あるのではないかということだった。