第18章 Genesis1:1-5
時間が掛かったけど、正体を隠して親戚筋を順番に当たっていったら、わかったことがあった。
父さんと母さんが残した金が、どこに行ったのかわからないってことだ。
本来なら生き残った俺が相続するものだが、俺が逃亡していないんだから代わりに誰か相続しているはずだ。
事件の後、あの会社を継いでくれた親戚のおじさんの家を調べてみたけど、そんな金を相続してそうな感じではなかった。
じゃあ誰が…?
誰が金を持っていったんだ…?
考えられるのは、残った会社の連中じゃないかってことだった。
「ふう…」
寝転んだままの姿勢で天井を見上げていると、なんとも言えない気分になってくる。
だから枕を掴んで抱きしめると、ごろりと横になった。
「ふたりで…ひとつ…」
呟いたら、心があったかくなった。
翔、会いたい
めちゃくちゃにキスして
力いっぱい抱きしめたい
その日が、必ず来ることを願って目を閉じた。
『はじめに神は天と地とを創造された。
地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。
神は「光あれ」と言われた。すると光があった。
神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。
神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である。』
【第18章 Genesis1:1-5 END】