第18章 Genesis1:1-5
『へえ…なんだよ豪勢だな。バカンスでも行ってたのか?』
雅紀が低い声で笑う。
「さあ…眠そうにしてた。着てるものはだらしなかったから、仕事じゃなさそうだった」
『ふうん。名前は?』
「思い出せないから、顔写真も欲しい」
『わかった。じゃあ明日な』
「ありがとう。頼んだ」
タップして通話を切ると、スマホをベッドに投げ出した。
「…絶対…突き止めてやる…」
ここ数年、両親がやっていた会社の奴らを調べるために時間を費やしてきた。
今、どこでなにをしているのか
どうやっていきているのか
──この中に、両親を裏切ったやつがいるはずだ
翔が言ってくれた言葉で目が覚めた俺は、仕事に復帰してから合間合間に過去のことを少しずつ調べていた。
最初は誰にも頼らず手探りで調べていたが、殺しと違って調査に関しては素人だから、そのうち壁にぶち当たってしまった。
探偵に頼むということもできそうだったが、まずこっちの身元が知られるのが不味い。
どうしようかと思っていたら、雅紀のほうから手を差し伸べてくれた。
元々、ある程度調べたらデータをまとめて、ごっそりと雅紀に投げようと思っていたから、ありがたくその申し出に乗ることにした。