第18章 Genesis1:1-5
「まあ、考えとくよ…」
そう答えたら、リビングのテーブルの上に置いてある俺のスマホが鳴り出した。
西島はひょいとスマホを覗き込むと、苦笑いした。
「ほら、噂をしたらこれだ」
「え?」
スマホを手に取ったら、雅紀の名前が表示されていた。
「迎え、頼んでこいよ」
「わかった…」
借りてる部屋に移動しながらスワイプして応答すると、雅紀の声が耳に飛び込んできた。
『元気になったんだって!?智』
相変わらず…うるせーの…
部屋のドアノブに手をかけて開きながら、笑いがこみ上げてきた。
『なんだよ?なに笑ってんだよ?』
「…相変わらず、元気だなと思って」
『おお。落ち着いた声してんな。だいぶよくなったんだな』
「ああ」
『無理させたか?和也には帰国してからすげえ怒られてさ』
「まあ、大変だったわな」
『すまなかったよ。今度からこんなことないようにするから』
「まあ、別にいいよ…そういう仕事は和也に回してやってよ」
『智…』
雅紀は黙り込んでしまった。
変なこと言ったかな、俺。
ベッドに座りながら考えてみたけど、よくわからなかった。
「で?迎えに来てくれるんだって?」
『あ、ああ。午前中でいいか?』
「わかった、準備しとく。それと…」
『ん?』
「お願いしてた調査、どこまで上がってる?」
『男性社員はほとんど上がってる…あとは、事務の女性たちだな』
「じゃあ明日そのデータが見たい」
『わかった。…なんかあったのか?』
「…帰国した日、同じ便に父さんの会社の奴が乗ってた」