第18章 Genesis1:1-5
そのバーベキューの後だったかに、母さんから聞いたんだよな。
『あの二人、会社でも仲良くていつも一緒にいるのよ。ご飯を食べるときも、残業するときまで』
って、楽しそうに笑ってたのを覚えてる。
そんな風には見えなかったし、いい大人の男がそんな女子みたいなことするのかってちょっと不思議だったから印象に残ったんだ。
「ふうん…いつも一緒ねえ…そいつらデキてたわけ?」
「いや。そういう関係じゃなかったと思う」
「じゃあ…なんか気持ち悪いな。男同士でそういうベタベタした関係」
俺も思い出してそう思ってたから、思わず大きく頷いた。
「…ぶ…」
「なに?」
「ここに来た頃より、だいぶいい…」
「へ…?」
「人間くさくていいねえ」
またなんか変なこと言いした、このオッサン。
「何いってんだよ」
「素直に自分の感情、出せるようになったじゃねえか」
上機嫌で西島は瓶ビールを持って自分のグラスに注いだ。
「自分じゃよくわからないかもしれないけど、だいぶ前より楽じゃねえか?」
「さあ……」
そんな事言うくせに、俺に答え求めてんじゃねえよ。
「多分、魘されるのは熱が下がったら治まると思うぜ?」
「そうなのか」
「ああ。おまえさん、感染症の後遺症みたいな症状も強かったんだから、体が弱らないように気をつけろよ」