第18章 Genesis1:1-5
「へえ…」
冷蔵庫から冷えピタの袋とミネラルウォーターの瓶を出してくると、新しいグラスと一緒に俺の前に置いた。
「ビール飲んじまったから、薬は後だ。まずは水をいっぱい飲め」
そう言って、ビールの入ったグラスは没収された。
「え…お腹いっぱ…」
「飲め」
「はい…」
冷えピタを袋から出して額に貼り付けると、気持ちよかった。
やっぱり熱、あるのかも。
「熱も…まあいいや。明日の朝、測ろう」
自分の席に座ると、ビールを飲んだ。
「で?日本に帰ってきてからなにがあったんだ?」
「…空港で、父さんの会社の人を見かけた…」
「お父さんの会社で働いていた人か?」
「ああ…多分、同じ便に乗っていたんだと思う。眠そうにしてたし…」
会社の懇親会とか、家族が参加する行事で何度か父さんの会社の人達とは交流があった。
だから顔もちゃんと覚えているのに、名前がどうも思い出せなかった。
「なんていう名前の人だとか、思い出せるのか?」
「…いや、思い出せない」
「そうか」
「でも…あの人。俺がやったのかって、言った人…あの人の上司だったのは覚えてる」
「へえ…?」
「バーベキューかなにかの時…あの二人と一緒になんかの係をやってたから覚えてる」