第18章 Genesis1:1-5
「なんで」
「滅多に人のこと褒めないだろう?」
「そう…?」
「そもそも、人に興味ないしな」
「そんなこと……」
あるかもしれない。
あの事件からこっち、人とあまり関わらないようにしてた。
今でもそのクセは抜けない。
「あるだろ?」
「まあ…そうだな」
「それなのに和也ってヤツのことは頭が良いって言い切れるほど良く知ってるっていうことだ。興味深いじゃないか」
「そりゃ、仕事組まされることも多いし…なんだかんだまとわりついてくるし…」
「でもそれを許してるんだろ?」
許してる…ていうか…
「…アイツは頭が良いから、グイグイ来るのを防ぎきれない…」
俺のことよりも自分の気持を優先するから、グイグイ来すぎて本当はぶん殴りたい時もある。
「ぶっ…」
西島のツボに入ったみたく、箸を持ったまま下を向いて笑っている。
「ほ…褒めてるわけじゃなかったんだ?」
「いや、褒めてるよ。俺より頭いいから助けられることもあるし。でもたまにその頭の良さが都合悪いってだけで…」
「へえ…」
目尻に溜まった涙を拭いながら、西島は俺のことをじっと見た。
「なんだよ」
「いいや…随分、言うようになったなと思って」
「なにをだよ」
「他人のことをさ。ちょっとめんどくせえなっていうの感じるようになったんだな」