第18章 Genesis1:1-5
西島の飯は決して凝った作りじゃなかったけど、それでも俺が作るものより何倍も美味い物だった。
「いただきます」
「ああ」
お互い、必要がなければ無言で飯を食べる。
これは前に一緒に暮らしていたときと同じ。
向かい合って食べる飯は、最初は気まずく感じた。
でも今ではこの男に慣れてしまったのか、なんとも思わない。
「どこ行ってたんだ?」
「え?」
珍しく話しかけてくるから、驚いた。
「…まあ…外国…」
「ふうん」
もちろん西島は、俺や雅紀がなにをやってる人間かは知ってる。
だから隠す必要はなかったが、かといって何でも言えばいいってもんでもない。
「和也って、あのちっちゃい?」
「ああ…」
俺もチビだから和也のことちびっていうのは気が引けた。
「実に人間を良く見てるな、彼は」
「え?会ったことあったっけ?」
「いや。遠目でちらっと見ただけだな。相葉さんが和也が和也がってよく話してくれるから」
「ああ…」
雅紀、和也のことを自分の息子みたいに可愛がってる。
だから今回も和也があんまりしつこく俺のこと訴えるから、そのまま西島に伝えたんだろうと想像がついた。
「あいつは頭が恐ろしくいいんだ。人のこともよく観察してる」
「へえ…智がそう言うなんて、興味深いね」