第18章 Genesis1:1-5
数時間のフライトを経て、朝に東京にたどり着いた。
空港には意外な人物が迎えに来てくれていた。
『お前に会いたがってるやつだよ』
なんて、雅紀は言っていたけど…
到着ロビーで、やたら目立つのっぽの爺さんがこちらに向かって手を振っているのが見えた。
「え…もしかして…」
和也が呟いた。
もしかしないでも、松岡の爺さんだった。
「おう。ご苦労だったな。車で来てるからついて来い」
「爺さん…わざわざ…」
「やかましい。つべこべ言わねえで、黙ってついてこい」
「やっぱ松岡さんじゃん。雅紀は?」
「別の案件に顔出してる」
「へえ…珍し。いつもなら飛んで迎えに来てくれるのに」
そういうと、くるりと俺に目を向けてニヤリと笑った。
「会ったら無視してやろーよ、智」
「バカいってんじゃねえよ?仕事してんだぞ?雅紀はよお」
松岡の爺さんがゴツリと和也の頭にゲンコを落とした。
「痛っ…痛っ…ちょっと!松岡さん!それが頑張って虫まみれになって仕事してきた俺に対してすることなの!?」
和也が食って掛かると、松岡の爺さんは小虫を払うような仕草で和也を振り払った。
「なんだこのモウコハンも消えてないようなガキが」
「も、モウコハン?」
なにそれって顔して俺の事見るけど、俺もなんのことだかわからなかった。
「…おまえたち、モウコハンがわからねえのか…?」