第16章 Matthew10:34
俺の足の間に体を滑り込ませると、額の汗を拭ってゴムのパッケージを手に取った。
「…もう、入れるから」
そう呟いて、パッケージを破ると手早く装着してる。
頭の芯がぼーっとして、ただその姿を眺めていたら、照れくさそうに笑って俺の目を閉じさせた。
「あんま見るな」
見るよ。
今から俺を気持ちよくしようとしてる姿も、今から俺で気持ちよくなろうとしてる姿も。
どんな姿も。
「智だって俺のこんな姿見てるじゃん…」
足を大きく広げられたままの格好でいるのを思い出した。
「これは別だろ…」
ピンっと俺の熱を指で弾かれて、びくりと体が揺れた。
「目、開けるなよ…」
目を閉じたままで居たら、腰の下に枕を入れられた。
すこし浮き上がった腰に智の指が触れる。
その指先から、ぞわりと背中を快感が登っていく。
「こんだけで鳥肌立ててる…」
「だって」
「やらしいの、翔」
「智がそんな触り方するから」
急に俺の後ろの口に濡れた指が触れた。
「あっ…」
「力抜いて…」
ぬるりと指がそこを拡げるように入ってくる。
目を閉じているから、ダイレクトに智の指の感触が脳に届いてくる。
「や…だ…ぁ…」
「嫌じゃねえだろ…ここ、すげえことになってる」
急に耳元で智の声が聞こえて、耳に舌を入れて耳たぶを舐られながら、智の足が俺の熱を弄んでる。