第16章 Matthew10:34
「宇宙…」
「ん…?」
「連れて行ってよね」
「ああ…」
ぎゅうっと智の腕に力が入った。
「おまえもアフリカ連れていけよ?」
「もちろん。ハウサ語ちゃんと覚えてよね?」
「…スワヒリ語じゃなかったの?」
「ふふ…」
智の胸板に額をこすりつけたら、くすぐったそうに体を離した。
「約束な?」
「うん。約束ね?」
智が小指をだしてきたから、それに自分の小指を絡めた。
「約束破ってら、針千本ね」
「わかった…」
指を切ると、途端にさみしくなった。
「翔…どうした?」
「ううん、なんでもない」
涙は見せない。
見せたくない。
また無理やりキスをしようとしたら、腕を掴まれた。
「翔…」
そう言って俺の顔を見た智は、そのまま黙り込んで。
それから強く俺を抱きしめた。
そこから先は言葉にはならなかった。
智の手が俺の全身の皮膚に触れて。
俺も智の靭やかな体に触れた。
もうどこも隙間がないくらいキスをして、触れて。
死にそうなくらいしあわせで。
智の指が俺の後ろの口に触れる頃には、もう快感で体が蕩けていた。
「あ…」
指がそこに触れただけで、勝手に体が跳ね上がった。
「柔らかい…」
「だって…昼間あれだけ…」
「嬉しい」
俺のこめかみにキスすると、智は俺の足を大胆に大きく開いた。