第16章 Matthew10:34
「結構…独占欲強いのな…」
「当たり前だろ。智のこと、ここに閉じ込めておきたいくらいなんだよ?我慢してるんだから、褒めて?」
「え…?」
ドン引きされるかと思ったけど、智はキョトンとした顔をした。
「褒めるって…」
「キスして」
「キスでいいの?」
「それがいいの」
そう言うと、嬉しそうな顔をして…
今までみたことないくらい、嬉しそうな顔をして。
ちゅっと軽いキスをくれた。
「偉い。翔」
「ありがと。智」
ぎゅっと智の熱を握ると、またびくりと体を震わせた。
「でも俺も…」
「うん?」
「翔をここに閉じ込めて、一生どこにも出さないでいたい…」
そう言うと、ちょっと甘えたような表情をして目を閉じた。
「そうできたら…ずっとおまえのこと守れるのに…」
「俺だって…そうできたら、智の健康をずっと守るよ!」
「俺の健康…?」
「だって俺、医者になるんだよ?そのくらいさせてよ」
ふふふと小さく笑うと、本当に嬉しそうな顔をして俺の頬を片手で包んだ。
「守るって、いろんな方法があるんだな」
「…そうだよ。世の中にはいろんな危険があるんだから…親が子供の命を守るのだって、事故とかそういうのもあるけど病気から守ったりもするわけだしさ…」
「ああ、そうだよな」
「それこそ何百通りも守るってことの方法は有ると思うよ」