第16章 Matthew10:34
「気持ちいい…な…」
「ん…気持ちいい…」
寝室の中は寒いのに、汗が噴き出してくる。
智の皮膚に触れている俺の皮膚から発火しそうなほど熱い。
「このまま…」
「うん…」
手の動きを緩めることなく、唇を智の首筋に這わせた。
くすぐったそうに首を竦めるから、舐めることができなくなった。
「くすぐってぇ…」
「我慢してよ。気持ちよくなるから…」
「やだ。くすぐったいものはくすぐったいんだって…」
逃げていこうとするから、首筋に噛みついて吸い上げてやった。
「あっ…翔、このやろ…」
やばいって顔して俺のこと引き剥がそうとしてるから、きっちりととても目立つ位置にキスマークをつけてやった。
「立派なキスマークだ」
「おまえねえ…」
「いいじゃん…どうせ数日で消えちゃうんだから…」
「翔…」
数日の間だけでもいい。
この人は俺のものだって印を、付けておいてよ。
誰でもいい。
雅紀さんでも和也でも、それを見せて欲しい。
同性愛だって嫌悪されたって負けないで。
そして、俺は翔のものだって…周りに知らしめて欲しい。
「俺はおまえのものだって、知ってる人…皆に教えて…」
付けたばかりのキスマークを唇で触れた。
びくりと智の体が揺れた。