第16章 Matthew10:34
なにも周囲の音が聞こえなくなって。
この世界は俺と智のふたりだけになった。
服を脱がせ合いながらキスをして。
一刻も早く繋がりたくてキスをして。
ふたりとも生まれたままの姿になったら、ベッドに倒れ込んだ。
「ああ、もうやべえ…」
「ん…?」
倒れ込んで離れてしまった体を抱き寄せたら、少し苦笑いした。
「もう出る」
「…俺も出ちゃいそう」
ふたりでキスして抱き合っているだけなのに。
智に触れる皮膚という皮膚が気持ちよくて。
触れられている手が気持ちよくて。
もう達してしまいそうになっていた。
「…触って…智…」
「ん…」
俺も触りたい。
智に手を伸ばして掴んだら、智も熱く滾っていた。
「あ…翔…」
「智も一緒に、気持ちよくなろ…?」
「うん…」
俺はさっき智の血を舐めてからずっと滾っていたから、智が触れただけで、もう弾けそうだった。
「すごい、翔…」
「あ…」
ぎゅっと智が俺のを握って。
先端から漏れ出ていた液体を指に纏わせ、ゆっくりと扱き出した。
それに合わせて俺も手を動かした。
しばらくすると先端からぬるりとした液体が漏れ出てきたのを感じて、しあわせを感じた。
そのしあわせを手のひらに纏わせて、更に熱い芯を扱いた。