• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第16章 Matthew10:34


「お姉さんって、そういう人だったんだ…」

きっと兄弟仲は良かったんだろうなって思ったら自然と笑えてきた。

「…翔、知ってるんじゃないのか?」
「え?」

不思議そうな顔をして、智が俺のことみてる。

「なにを…?」
「俺のこと、調べているんじゃないのか?」
「えっ…」

どうして…和也って奴が言ったのか。
咄嗟に何も答えられないでいたら、智は笑った。

「別にいいんだ。俺のためにいろいろ考えてくれてたんだろ?」
「うん…」
「姉貴のことまで調べてなかったのか?」
「調べたけど…どんな人だったのかまでは…」

ふと、H.Kさんのことが浮かんだ。

「ねえ、お姉さんの友達で、本田さんっていなかった?本田…翼さん」
「ああ…翼って居た。女だろ?多分中学までは一緒だったと思う」
「そっかあ…」

やっぱり…H.Kさん、お姉さんの友達だったんだね。

「その人がどうかしたの?」
「ああ…うん…」

智にこの話をしてもいいのか、わからない。
でも核心をぼかしたら伝えてもいいのかなと思った。
まだ彼女が殺されたか確証はなかったし、もしも自分のせいで彼女が死んだかもしれないと知ったら、また逆戻りしてしまうかもしれなかった。

「もう亡くなっているんだけどね、その方」
「そうなのか」
「でも智の無実を、信じていてくれたみたいなんだ」
「え…?」
「その人、雑誌の記者をやってたんだけどね」

/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp