第15章 Genesis2:16-17
「ごめんっ…このくらいで倒れると思わなくてっ…」
根はいい奴なんだ。
ただ天邪鬼なだけで……
和也に抱き起こされて、ソファーに座った。
とっさに受け身を取ることができたけど、腰を強か打ち付けてしまった。
「痛て…」
「ごめん…ごめんね?智…」
「…だからわかったろ…?」
「え…?」
ソファに座る俺と目線を合わせるように床にしゃがみこんで、心配そうな顔をしてる。
「こんな風になっちまってるんだ…雅紀から聞いてるだろ?」
「智……」
「腹の傷はなんとか塞がったし、もう痛くない。だけど身体がおかしいんだ…」
和也は悲しそうな顔をして、俯いた。
「セックスするほど元気じゃん…」
「今日はいいけど明日がどうなるかわからないっていう状態がずっと続いてる。元気な日もあるけど、そうじゃない日のほうが多い」
「智……」
「もうちょっと待っててくれ。必ず帰るから」
そう言うと、俺のこと見上げた。
「…嘘」
「え?」
「智、足を洗おうと思ってるでしょ」
「そんな訳無いだろ」
「そんなに櫻井翔がいいの…?」
「和也…」
「何が俺と違うんだよっ!?」
確かにそういう願望がないわけじゃない。
でも不可能だ。
どう転んだって、俺と翔の人生は交ざり合うことはない。