第15章 Genesis2:16-17
「智…?」
考え込んでいたら、いつの間にか和也が目の前に来てた。
「なーによ…さっきのえっちでも思い出してんの?やーらしい…」
「違うから」
なんとも言えない顔をして、和也は俺に顔を近づけてきた。
「やめろって」
「キスくらいいじゃん…」
確かに、以前だったらキスくらいって思ってた。
だから和也が求めてきて、拒否ったことなんてなかったんだが…
「ほんと、やめてくれって」
そう突き放すと、嫌な顔をして飛び下がった。
「櫻井翔がいるから?」
「当たり前だろ」
「…本当に付き合ってたんだ…?」
探るような目で和也は俺を見る。
こいつは出会った頃から勘がやたら鋭い。
おそらく最初は俺達が付き合ってたわけじゃないことを、本能的に察知してたと思う。
だから翔の弟を誘拐なんて真似したんだと思う。
「ああ。付き合ってる」
「嘘でしょ!?絶対付き合ってなかったでしょ!?」
「…それ聞いてなんの意味があるんだよ」
「智っ…」
「翔や翔の家族に手を出すなよ。二度目はねえぞ」
不満げな顔をする和也との間合いを一気に詰めた。
逃げようとする身体を捕まえ、顎を掴んだ。
「…次やったら殺す」
真正面から見据えたら、一瞬怯んだようだった。
「離してっ…」
力任せに突き飛ばされて、不覚にも後ろにひっくりかえってしまった。
「智!?」
和也が慌てて駆け寄ってくる。