第14章 1 Corinthians 13:4
智がコーヒーを飲むときは、機嫌がいい。
「俺もコーヒーがいいな」
「ああ。ちょっと待ってて」
「うん」
今日は昼を外で食べてくるって言っておいたから、ひとりでのびのびと過ごせたのかな。
最近ずっとべったり一緒にいたから、智にはリフレッシュする時間も必要だと思ったから、潤の誘いはちょうどよかった。
多分だけど、智は一人の時間が必要なタイプの人間だと思う。
今は弱ってるからいつも俺と一緒に居るけど。
キャビネットを開けて、お菓子を探した。
「あ、フロランタンがあった」
「なんだそりゃ」
「なっつのあまくてかためたくっきー」
「んあ?」
「とにかく美味しい」
「食う」
コーヒーが入って、フロランタンをクッキーの缶ごとダイニングテーブルに出した。
向かい合わせに席につくと、マグカップを手に取った。
「お昼何食べたんだ?」
「ん?ふかひれ」
「ふ…かひれ…って、あのふかひれ?」
「うん?どのふかひれ?」
「高級食材のふかひれ?」
「うん。特大の姿煮食べてきたよ」
「特大っ…」
「どうしたの?」
「い、いや…なんでもない…」
ずずっとコーヒーを啜ったら、じっと俺の顔を見る。
「どうしたんですか…」
「いや…なんでもない…」
ずずっとまたコーヒーを啜った。
「そんなに食べたい…?」
「いや…そんなことはない…」
「今度テイクアウトしてくるね?」
「……うん」