第14章 1 Corinthians 13:4
そう言ったら、くしゃっと潤は笑った。
「あったりまえだろ!」
いきなり俺のほっぺをぎゅうっと摘んだ。
「いへーあろうが!(痛いだろうが)」
「このUSBは俺が持っておくけど、コピー要る?」
「いう(要る)」
「要らないよね?家で見れないんだから。あ、でも新学期始まったら要る?授業中に見るのに」
「あからいうっていっへるあろ(だから要るって言ってるだろ)」
「そっか、すまんすまん。じゃあ来月までに用意しとくよ」
「あろんあ(頼んだ)…」
「んじゃ、このUSBは俺が持っておくね」
そこまで言ってやっと指を離してくれた。
「痛え…」
潤は自分が座っていた椅子に座ると、水を飲んだ。
なんで抓られたのかわからないけど、俺も水を飲んだ。
「行くか」
「ほっぺが痛いから、家まで送れよ?」
「かしこまりぃ」
マンションの下まで潤に送ってもらって、帰ったら14時になっていた。
「ただいま。智、飯はくった?」
「おかえり。適当に食ったよ」
智はリビングでテレビを見ていた。
うたた寝でもしていたのか、顔にクッションの跡が付いていた。
こりゃ…昼飯食ってねえな。
「そっか。お茶でも飲む?」
「ああ…もうそんな時間だったか」
眠そうにしながらも起き上がって、間続きのキッチンへ入ってくる。
「コーヒーでも飲むか…」
ぼそっと言うと、コーヒーメーカーの準備をし始めた。