第13章 Ephesians4:25
「翔…」
「ん?」
ぎゅっと。
もっとぎゅっと翔の身体を抱きしめる。
「翔…」
「どうしたの…?智…」
しがみつくように、翔の存在を抱きしめる。
逃げないように。離れていかないように。
俺達はふたりでひとりなんだから。
「智…ごめんちょっと…」
翔が身体を離そうとしても、離せなかった。
「ね…お願い…ちょっと緩めて?智…」
「嫌だ」
だって、離れていく。
翔はいつも、しばらくすると離れていく。
「もお、お願いだから…」
弱々しい声での懇願なんて聞かない。
声の割に強めに離れようともがくその腕も、絡め取ってしまう。
「智っ…離してっ…」
「なんで離れようとするんだよ」
「だってっ」
ムキになって身体を離そうとする翔と揉み合いになった。
起き上がろうとする翔を座面に引き倒して、身体の上に乗って動きを止めた。
「あっ…やだっ…」
真っ赤な顔をして、身を捩って…
白い首筋までほの赤く染まった。
「嫌じゃないだろ?」
本当は、わかってる。
でも今日は無性に離したくなかった。
「…やめて…お願い…」
翔の熱が俺の腿に当たってる。
それを外そうと膝を立ててもがいてるが、腕を押さえつけて更に動けないようにした。
「お願いだよ…智…」