第13章 Ephesians4:25
そんな言葉が聞こえても、俺は翔の上から動くことが出来なかった。
「ほんと…お願いだから…」
「嫌だ」
懇願する姿を見ながら、身体から溢れ出した何かが熱を巻き起こした。
「智……?」
翔の熱と、俺の熱。
お互いに感じ取って、見つめ合った。
「だ…めだよ…」
怯えるように翔はまた身体を離そうとする。
「おまえが言ったんだろ?ふたりでひとりだって」
「だからだめだって…俺、これ以上…」
「離さない」
その瞬間──
なにかが俺の中で
なにかがおまえの中で
変化した
「智…」
「離さない、翔」
ふたりでひとりって言ったのは、おまえだ。
「もう…無理だよ…」
泣き出してしまったおまえを、俺は離すことができない。
「翔…」
次々と湧き出してくる涙を舐め取って、そのまま翔の唇に触れた。
俺達は、ふたりでひとり
だからひとつに
身体は別々でもひとつに
「…さ、と…し」
抗おうとする腕を掴んで、座面にまた押し付けた。
深く翔の口の中に入ってしまいたくなって、その唇をこじ開けた。
「やっ……」
隠れようとする舌を絡め取って、緩く吸い上げる。
その舌の感触にゾクゾクが止まらない。
久しぶりの感覚だった。
翔の足に、自分の熱を押し付ける。
快感が電流みたいに身体を貫いていった。
「はあっ…」
息が上がって、堪えないと。
出てしまいそうだった。
「う…」
少し顔を逸して耐えると、翔の荒い息遣いが聞こえた。
ゆっくり翔の顔を見る。
上気した顔が、俺のこと見つめていた。
「智…すき…」