第13章 Ephesians4:25
深夜、ベッドの軋む音で目が覚めた。
「翔…?」
「ごめん。起こした?」
「ううん…しっこ」
「行って行って…」
ベッドの反対側に入ってきた翔は慌てて布団を捲くった。
点滴を入れているから、しっこばっかりでる。
起き上がって点滴を見上げたらもう終わりそうだった。
そらしっこしたくなるわ…
「あ、もうないね。戻ってきたら点滴抜こうか」
「ああ」
トイレに行くと喉が乾いていることに気づいた。
身体には水分が溜まっているが、喉はカラカラだったようだ。
手を洗ってからキッチンに行くと、コップを出してミネラルウォーターを冷蔵庫から出した。
「智?水飲みたかったの?薄着で出ちゃだめだよ」
翔がカーディガンを持って追いかけてきた。
俺の事言うけど翔も薄着なんだが。
いうと、また俺のほうが若いって言われそうで言わなかった。
俺の肩にカーディガンをかけると、点滴の管があるからやりにくいでしょとミネラルウォーターを注いでくれた。
「ありがと…」
ぼけっと、暗い照明の中に浮かび上がる白い横顔を見ていた。
俺の世話焼くとき、本当に嬉しそうにしてる。
めんどくさいって言うときもあるけど、全然そんなこと思ってなさそうな顔で笑ってる。
なんで…俺なんかのために…
「はい」
注ぎ終わったグラスを俺に差し出してくれる。
グラス越しに見える微笑む瞳は綺麗で。
闇の中でも輝いてる。