第13章 Ephesians4:25
「智が…守ってくれるの?」
「…忘れてくれ…」
今の俺は、夜な夜な悪夢に魘され…
そうじゃなきゃ高熱を出して寝込んでる。
こんな俺に、どうして翔が守れるというのか。
「なんで?」
「だって肝心な時に熱出して寝込んでたら、守れねえだろ…」
「そうかな?少なくとも俺よりは絶対、熱出してる智のほうが強いと思う」
「そんなことねえだろ…」
最近はあまりないが、熱を出すと本当にキツくて、ベッドの上で起き上がっているのもつらい時があった。
翔が言うには、SARSだとかいう感染症の後遺症のひとつである、慢性疲労症候群ってやつに似てるらしい。
もしそうなら、あと半年から一年くらいはこういうのが続くかもしれないってことだ。
慢性疲労症候群は人により症状が違うらしいが、概ね体調がいい日は少しは動くこともできるし働けなくもないが、疲れが溜まると指を動かすだけでも大変になるということだ。
酷くなるとずっとベッドで寝たきりの生活になってしまうほどだという。
俺はそこまでは行っていないが、疑いがあるということだ。
一度そんなことないだろうと、翔がいないときに筋トレしたら、次の日筋肉痛とは違う謎の倦怠感で起き上がることができなかった。
翔はまだ医者の卵だが、俺の症状の事を真剣に調べてくれている。
だから、信じて大人しく療養しなきゃいけないと思った。
…早くここを出ていくために…