第13章 Ephesians4:25
「そういえば、雅紀さんから連絡あった?」
「…もしかして来たのか?」
「違う違う」
俺を落ち着かせようと、慌てて布団の上からポンポンと叩いた。
「あれから…何も言ってこないわけ無いと思って…」
2月の半ばごろ。
雅紀はこの家に来た。
俺がどうしているのか確認するのと、本当に俺たちが付き合っているのかどうかを探りに来たようだった。
ちょうど俺はその時高熱を出していて、恋人だという演技をする必要もなかった。
熱が高すぎて上手く喋れないのを見て、気の毒そうな顔をして帰っていった。
それ以来、無事を確認する電話は掛かってくるが、雅紀がこの家に来ると言い出すことはなかった。
翔の前にも現れてはいないようだった。
「電話は来る。出れなくてもそれにはきっちりレスを返すようにしてるから、雅紀のほうから俺たちのこと疑ってるようなことも言ってこない」
そう言うと、翔はほっとした顔をした。
「翔にちょっかい掛けるのもやめてくれって言ってあるから…もう、ご家族に迷惑かけることもないと思う。ほんとあの時はごめん」
「そんな、智のせいじゃないんだから…」
「もう絶対あんなことさせないから。なんかあったら俺が守るから」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。