• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第13章 Ephesians4:25


「智、もうすぐできるよ。どうする?起きる?」

点滴が始まってうとうとしていると、翔が寝室に呼びに来てくれた。

「ああ…起きようかな。一日寝てたし…」
「じゃあ、あとちょっとでできるからゆっくり来て。点滴の管、気をつけてね」
「うん」

ゆっくりと起き上がると、点滴のせいか身体が随分楽になっていることに気づいた。
ほっと息を吐き出すと、そろりとベッドから降りた。

情けないことに、こんな動作をするだけでもベッドから転がり落ちたことがあって、気をつけている。

これだけ筋力が落ちているんだから、仕事に復帰するとき困るだろうな…

「よし、行くか…」

ゆっくりと点滴のぶら下がってる棒を動かして、歩き出した。



…やっぱり俺はあの世界に帰るしか無いと思ってる。


今まで、家族のことに向き合おうと、翔とはいろんなことを話した。
苦しくて逃げ出したくなったこともあるけど、それでも向き合っていかなきゃ智は前に進めないって説得されて。

ずっと家族の死と向き合ってる。

まだ向き合い始めて少ししか時間は経ってないが、やはり家族を殺した犯人を探し出して話を聞かないと、なんにも解決しないと思った。

だから俺は元気になったら、あの世界へ戻る。

これはまだ、翔には言えてない。

/ 365ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp