第12章 Ave Maris Stella
ベッドに横になると、当然という顔で俺に腕枕をしてくる。
「ほら」
「……」
最初はやるやらないの攻防戦を繰り広げていたけど、絶対に智には体力的にも逃げの戦術的にも敵わないって気づいてからは、無駄な抵抗はやめて素直に腕枕してもらってるけどさ。
この人どういうつもりなんだろう。
俺はゲイだって言ってるし、智のことが好きだって伝えてるのにこれだ。
俺が勘違いしてしまったらどうするんだろう。
一時の恩からこんなことしてくれてるんだって、俺だからわかってるけど、他のゲイにこんなことしたら一晩で穴だらけにされるに決まってる。
「弄んでんの?」
「なにを?」
「……」
喋るのもめんどくさくなってベッドに入ると、智の横に寝転んだ。
布団を被ると、腕枕をしている智は満足げに俺のこと抱きしめる。
「やっぱ弄んでるんでしょ?」
「だから何をだ?」
「……」
ホントさ。
こういう奴が一番悪いやつだ。
正直に俺の性癖を伝えてるのに、こんな勘違いさせるようなことをして…
いざこっちがコトに及ぼうとすると、そんなつもりはなかったとか言うんだぜ?
「なんで怒ってるんだ?」
「怒ってない!」
理不尽だとはわかっているけど、智のこの鈍さにイライラしてしまう。
「感受性は人それぞれだ」
「お、おう…?」