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Maria ~Requiem【気象系BL】

第12章 Ave Maris Stella


そう言うと、智はなんだかよくわからんって顔をした。

「わからないことの方が多いから、年々新しい情報が更新されていくんだ。だからたくさん勉強しなきゃいけないんだよ」
「おう…そうだな…」
「知らないと、人の命に関わるから。責任重大なんだよ」
「……」

人の命を奪う職業の人に、こんなこと言ってよかったのか。
そう思ったときには、遅く。

智はなにか考え込んだ顔になった。

「…それにさ。知らないって怖いことじゃん?」
「え?」
「例えばさ、昔の人は夜に柳の木の枝が揺れたのを錯覚して、おばけだって怯えたんだよ。だから風のある夜は出歩かないとかしてたんだ」
「うん…?」
「それに…そうだな。よく肝試しとかでさ、火の玉作ったりするけど、昔の人はあれを本気で怖がってたわけじゃん?だから近道だってわかってても、夜は墓地の中は絶対に通らないとかね」
「うん」
「火の玉って自然現象なんだよ」
「え?そうなのか?」
「土葬だった時代に、土の中に人の体からリンっていう科学物質が出て、それが水分と反応したものじゃないかって言われてる」
「リン…」
「ね?だからね、知らないってことは怖いことなんだよ。どうしてそうなったか原理を知らずにいて、やれることもやれなかったりできなくなっちゃったりするんだよ。それって凄く怖いことだよね」

そう言ったら、凄く納得したのか大きく頷いてくれた。

「だから俺は勉強しなきゃいけないんですよ。智さん」
「でももうこんな時間だから寝よう。翔さん」
「やめてよ…さんって…」
「いやなら、寝るぞ」
「…もお…わかったよ…」

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