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Maria ~Requiem【気象系BL】

第11章 What a Friend We Have in Jesus


また鼻を啜ると、俺の方をちらりと見た。
でも直ぐに目を逸らした。

「だって一方的な気持ちの押し付けじゃん」


じゃあそれを…
エゴや偽善にしなきゃいい。

一方的にしなきゃいいんだろ?


なんでこんなこと思ったのか…
よくわからない。
でも、これがこのときの俺の真実で。
俺の正直な気持ちだった。


翔の顎を掴むと、こっちを向かせた。
少し泣いた目の周りは赤くなって、潤んでいた。
紅潮した色白の頬には、涙の跡。

「智…?」

いつもより少し赤い唇にキスした。

「ちょっ…」

逃げようとする腕を掴んで抱き寄せた。
翔の唇は熱くて気持ちよかった。

もっとキスしたいって
そう思った

離れがたく思っていると、突然翔の力が抜けた。

「翔…?」

どこかぶつけたのかと思って身体を離すと、頬を張られた。

「痛ってぇ…」
「…なにするんだよっ!?」

それはこっちのセリフだろ…

完全に油断した。
こんなに正確にぶん殴られるのは久しぶりだった。

「なにって…キス…?」
「そんなことするなよっ」
「だって、おまえが一方的だって言うから」
「だから俺は、智が昔抱いた人たちとは違うし、違うって思いたい。だからそんなことしなくていい!」

どういうことだ?
なんで翔はこんなに怒ってるんだ?

「翔が一方的だからって言ったんだろ?」
「だから…気にしなくていいって。助けたことだったらさ…俺がやりたかっただけだから」
「…俺だって、キスしたかったからしただけだ」

本当のこと言ったのに、全然翔は信用してくれない。

「無理しなくていい。俺にだって性欲解消する相手位いるから。同情してもらわなくていいよ」

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