第11章 What a Friend We Have in Jesus
俺を住まわせてくれてたあいつが田舎に帰った後…
家も無くした俺は、その日暮らしをしていた。
その頃には大人になっていたからなんとか生きていくことはできたが、ホームレスみたいなとこまで堕ちた。
荒川に架かる橋の下が俺の家になった。
明日もわからない、今日の生活もままならず冬になろうとしていた。
心が荒んで、もう家族の元に逝こうか…そんなことまで考えた。
まだ何も…
家族の命を奪ったあの事件のことは、何もわかっていなかったのに
そんな時、雅紀に拾われた。
まるで犬でも家に持ち帰るみたいに。
そこから、俺は…
暗殺者として生きることになる──
「誤解…しないでほしいんだけど…」
鼻をずるずる言わせながら、なんとか翔が言葉を発した。
「なんだ?」
「同情とか…そういうんじゃないんだ」
「…ああ」
「本当に俺は、智のことが心配で…」
そう言って、言葉に詰まった。
「どうした?」
「いや…違うね。心配なのも事実だけど…智の見えない過去に嫉妬した」
「え?」
「だからその…住まわせてくれたひとに…」
顔を手で覆うと、大きくため息を付いた。
「はぁ…だめだ、俺」
「翔?」
「エゴと偽善の塊だ」
「…そんなことねえぞ…」
「そんなことあるよ」