第11章 What a Friend We Have in Jesus
まだ家族を亡くしてすぐだったから、立ち直れていなかったんだと思う。
「恋人じゃない…だけど、身体の關係はあった」
「え…」
「抱いたよ?俺のこと部屋に置いてくれるって言うから…」
そう言って、翔の顔を見た。
驚きと戸惑いがないまぜになった表情をしていた。
「高校を出てもいない未成年が、どうやって逃げ隠れ出来たと思う?」
「あ……」
「そういう奴らに匿われて、その代わりに抱いてさ…他人の好意を利用しまくって、その代わりに身体を売るような真似をしてたんだ」
「智…」
「あれは恋人なんてもんじゃなかった。ペットみたいなもんだったと思う」
「そんな言い方…」
「可愛く言う事聞いてりゃ飯貰えるもん。抱けば家にだって住まわせてくれた。…あっちはどう思ってたか知らないけどな…」
だから翔。
俺はこんなに汚れてるんだから、おまえがそんなこと気にしないで良い。
おまえは、綺麗だ──
「だから、おまえが俺にどんな感情を抱いてたって、どんな汚いこと思ったって…そんなこと負い目に思う必要もない」
俺の腕を掴んでいた翔の手が離れていった。
「ごめん…智…」
「だから謝る必要ない」
「想像…できなかった。智がどうやって生きてきたか…前に話し、聞いてたのに…ちゃんと、想像できてなかった」
「そりゃ言ってないし…それに、翔と俺は真逆の環境で生きてたんだ。想像できなくて当たり前だ」