第11章 What a Friend We Have in Jesus
そんなもの、何だと言うんだ。
俺なんか嘘だらけで生きてる。
「家族を…大事にするって決めたのに…俺…」
翔はマリアみたいに、綺麗すぎるんだ。
だからこんなことでショックを受けるんだ。
「家族が危険な目に遭っても…それでも俺、智の傍に居たい…」
俺なんて…汚いものの塊なのに
「すまない…翔…すまなかった…」
俺とは違う。
住んでいる世界が、違うんだ。
やっぱり傍に居ちゃいけない。
すぐに翔から離れないといけない。
「ごめん…翔…」
なのに…どうして俺は、ここから出て行きたくないって…
そう思ってしまうんだ。
この穏やかな時間の流れる、翔の居る家から離れたくない
「智…」
小刻みに震える腕は、恐る恐る俺のこと抱きしめ返した。
「違うんだ…謝って欲しいわけじゃない…許して欲しいんだ…」
「何を許すっていうんだよ…なにもおまえは悪いことしてないじゃないか…」
「悪いこと…」
そう言うと、翔の動きが止まった。
涙も止まったようだった。
「翔…?」
しばらくそのままで居たが、がばっといきなり体を離すと、初めて気づいたという顔をして俺の顔を見た。
「智…いつから…?」
「え?」
なにかに驚いた顔のまま、後ずさって俺から離れようとする。
「どうしたんだよ?」
思わず腕を掴んだけど、振り払われた。
「翔…」
「いつから俺の気持ち知ってたの!?」
「え…?」
いつからって…
だいぶ最初の方でに気づいていたけど。
それが一体どういう意味を持っているんだ?
そんなに重要なことなのか?