第11章 What a Friend We Have in Jesus
「気づいてたんだよね!?智!」
「え…ああ…まあ…」
「だよね…だから驚いていなかったんだよね…だよね…」
真っ赤な顔をして、ますます後ずさっていく。
ついにはダイニングテーブルにケツを思い切りぶつけた。
「痛っ…」
「おい、翔…」
「来ないでっ…もおっ…どうしようっ…俺…」
バサバサと端の方に置いてた本やらノートが落ちてるのに、それも目に入っていないようだった。
「ばかみたいじゃん一人で…もお…」
酷く狼狽したまま、翔はリビングを出ていこうとしていた。
「ちょっと待てって、翔!」
びくっと肩が震えて、恐る恐る顔を上げた翔の顔には、もう涙はなかった。
「…俺は、別にそんなことでおまえのこと嫌ったりしないし、軽蔑なんてしたりしない」
「智…」
「それに…俺だって、おまえの気持ち知りながら、それを利用しようとした」
「…え…?」
手招きすると、翔は素直に俺のほうへ歩いてきた。
ソファに座らせると、俺も隣に座った。
「…翔が俺に好意を持って、俺をここに匿っているなら、それを利用してやろうって…そう思った…」
「智…」
「もう気づいてると思うけど…俺は今は、翔とは違う世界で生きてる。だから病院には行きたくなかったし、警察にも知られたくなかった。だから都合がいいって…そう、思ったんだ」