第11章 What a Friend We Have in Jesus
「やっぱり…そうなんだね…?」
翔の静かな目は揺らぐこと無く、俺を捉えている。
「違う…違うから…頼む、これ以上詮索しないでくれ…」
どうしよう。知られてしまった。
俺が何をやってる人間か、翔に知られてしまった。
どうしていいかわからない。
このマリアみたいな男に、俺の闇を知られてしまった。
どうしても知られたくなかった、俺の秘密
どうしても知られたくなかった、俺の闇
離れていってしまう
見捨てられてしまう
家族のことを言ってしまった時より逃げ出したかった。
いつかは翔から離れなくてはいけないと思っているのに、翔と離れることに世界が終わってしまいそうな絶望を感じた。
だって翔は、俺のこと大丈夫だって言ってくれた。
ずっと傍に居てくれるって言ってくれた。
そんな人、世界でただ一人。
翔しかいない。
初めての感情に、戸惑うばかりで。
汗が出てくる。
俺を見つめる翔の視線から、逃げ出したい。
「翔…俺は…」
「恋人って、言ってくれて…嬉しかったんだ…」
翔の口から出てきた言葉が意外過ぎて。
なにも返事ができなかった。
「一瞬でもいいから…智の恋人になれたみたいで…」
泣き出しそうになりながらも、俺をまっすぐに見る翔の目は綺麗で。
すぐに壊れてしまいそうに、儚かった。