第11章 What a Friend We Have in Jesus
それと…
翔の様子が、ずっとおかしい。
新年のパーティーでなにかあったらしいが、俺には言わない。
でもその日から、ずっと翔は自分の殻に閉じこもっているような感じがして。
前みたいに思ってることがダイレクトにわかるということが少なくなった。
酷く憂いのある顔で、俺のことを見てることがある。
それは前とは違ってもっと深く、懊悩しているような表情だったりすることがある。
でも俺は何があったかは…翔に聞くことはできなかった。
これ以上、踏み込むことはできないと思ったから。
「智、もう寝る?」
「ああ…」
リビングでテレビを見ていると、ダイニングテーブルで勉強していた翔が声を掛けてきた。
いつの間にか俺の座るソファの後ろに立ってた。
「…どうした?」
「ん…」
少し笑うと、ソファの前に回ってきて俺に手を差し出した。
「もう引っ張ってもらわなくても、大丈夫だよ」
「いいから…」
翔の手を握ると引き上げられた。
立ち上がると、そのまま翔の胸に引き寄せられた。
「翔…?」
「ねえ、智」
「ん」
「なんで、雅紀さんに俺のこと恋人だって言ったの?」
「…雅紀に会ったのか?」
「うん…」
身体を離して翔の顔を見ようとしたが、強い力で引っ張られた。
「いつだ?もしかしてあのパーティーの日か?」
それには答えず、ぎゅっと翔の腕が俺の身体を抱きしめる。