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Maria ~Requiem【気象系BL】

第10章 Jeremiah8:4


急いで近づくと、父親は顔を近づけてきた。

「もう息をしていない。このあと控室に運ぶから、お客様をここから遠ざけてくれ。俺が戻るまで会場を頼むぞ」
「…わかりました」

まだ血色はよかった。
だからほんのちょっと前に、呼吸が停止したはず。

倒れている中年の男は、ぐにゃぐにゃと力の入ってないゴム人形のように、されるがままになっている。
救急の診療部長が、身体に跨って心臓マッサージを始めた。

「皆さん、お騒がせしております。ただいま父が処置しておりますので、どうぞ安心してください」

なるべく大きな声で言うと、お客様の視線が集まった。
妹や弟もこちらを見ていた。

「皆様、会場の後方でご歓談の続きを」

そう言うと察してくれた何人かが移動を始めた。
ざわざわしながらも、集まっていた人たちは動き出した人につられて後方のテーブルへ移動してくれた。

ウエイターを呼ぶと、もう一度飲み物を皆様に出すように言った。それから料理も準備ができ次第早めに出すようにと伝え、妹と弟のところへ走った。

まだ母親が来ていないから、俺が付き添っていないとと思った。
控室に帰ってろって言おうと思ったけど、あの倒れた人を運ぶって言ってたからだめだ。

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