• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第10章 Jeremiah8:4


会場に入るとこれから新年の挨拶が始まる所で、係員に家族のいる場所に案内された。

妹と弟が俺を見つけ微笑んだ。
一緒にいる母親が俺を見て頷いた。

「あけましておめでとう。兄さん」
「ああ。おめでとう、舞」
「兄ちゃん!なんで正月来なかったんだよ!」
「こら!あけましておめでとうでしょ!」

妹に怒られて、改めて弟から正月の挨拶をされた。

「あ…あけましておめでとうございます。翔兄ちゃん」

去年よりきちんと挨拶することができるようになっていて驚いた。

「あけましておめでとう、修。ちゃんと挨拶できるようになって偉いぞ」
「ほんと?」
「ほんと。ごめんな、修。ゲーム今度一緒にしよう」
「約束だからね!」
「わかったわかった」

笑いながら妹をみたら、満足げな顔をしている。
相変わらず弟の教育係は妹のようで。

「翔、あけましておめでとう」
「おめでとうございます、母さん」
「ごめんね。もう登壇しなきゃいけないの。舞、修を頼むわね」
「はい」

母親はそう言うと、一旦会場の外に出ていった。

「修、お姉ちゃんから離れたらだめだからね?」
「うん、わかった」

両親は忙しいことを理由に、あまり妹弟を構っていないのを感じた。

それでも、俺よりは全然構ってはいるけども。

「寿美子さん、元気?」
「元気元気。寿美子さん寂しがってたよ?」
「ああ…そのうち顔出すよ」

寿美子さんとは、俺が小さい頃からの住み込みのお手伝いさんで。
小さい頃は家にあまりいない両親に代わって、俺の面倒をみてくれていた。

正直、寿美子さんが本当の母親ならいいのになと思ったことはある。
そのくらい、俺には近い存在の人だ。

/ 364ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp