• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第9章 Romans7:7


「ふうん…」

雅紀さんはまじまじと名刺を見た。

「まだ大学生なのにこんなもん必要なんだ?」
「今日はパーティーなんで…特別です」

そう言うと、雅紀さんはタバコを消した。
懐から名刺入れを取り出して名刺を入れると、再び懐にしまった。

「連絡させてもらう」
「お待ちしています」

そこからしばらく無言の車内だった。
パーティー会場に付く前に、ぽつりと雅紀さんが呟いた。

「…どこで智と出会ったんだ?」
「え…?」

全身に汗が噴き出してきた。
どうしよう。智はなんて雅紀さんに言ったんだろう。

「ね…ネットで…」
「ゲイのそういうのあるの?」
「…あります」

雅紀さんは俺に顔を向けて、わけがわからんって顔をした。

「あいつがそういうサイトにねえ…」
「はあ…」

多分、想像がつかないって思ってるんだろう。

「あのさ、俺たちも桜井総合病院のパーティーに招待されてるんだけどさ」
「え?そうなんですか?」

意外な感じがした。
それが顔に出てたみたいで、雅紀さんは苦笑いした。

「でも会場では知らないふりしてくれないかな」
「あ…はい…」
「俺たちのことは何があっても、誰にも言わないで欲しい」

雅紀さんの顔が、真顔になった。

「これを守ってもらえなかったら、智はすぐに引き取る」

有無を言わせない物言いと雰囲気。

「…わかりました」

そう言わないと、この生活がぶち壊されるのは目に見えていた。

今はまだ…智には俺の傍にいて欲しい。
どう治療していけばいいか、わからないけど…
それでもなんとかしてみせる。

だから従うしかなかった。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp