第1章 始業式
「体育委員は自業自得だから、もう少し減らして苦しんでもらおう。小平太もいい加減反省しなよ」
「用具委員は修繕費がバカにならないし、このままで良いか」
「・・・・・・会計委員は・・・・・・はは、文次郎は自分に厳しいなあ」
各委員会からの案をもとに彼の組んだ予算から、彼の優しさが垣間見える。
自分の委員会の予算をほぼなしにして、他の委員会に融通しようとしてくれていた。
学級委員長委員会の“茶菓子”と言う項目に朱でバツをして、会計委員会に少し振り分けておいた。
他にも、“学園長先生のブロマイド予算”“学園長先生の突然の思いつき予算”などは遠慮なく削減して、教材費に回す。
作法委員の生首フィギュアの化粧代は後期の予算会議までお預けにした。
組立直した予算で帳尻が合うかどうか、十キロそろばんを弾く。
「重いな、いつものことだけど」
終わる頃には指がつりそうになっていた。
会計委員たちがほとんどの修正や大枠を決めてくれていたおかげで、予想していたほどの時間はかからずに予算案ができあがった。
彼があんなに時間がかかっていたのは、寝不足でも続けたせいで効率が落ちていたのだろう。
「ほら、文次郎。起きて。そんな所で寝たら体痛くなるよ」
いつの間にか床に倒れていた彼を揺すって起こした。
「・・・・・・まさか、終わらせたのか?」
「一応ね。帳尻合わせも終了。何とか収まったよ」
信じられないと言う顔をして、ゆっくりと起きあがる。