第1章 始業式
「ははっ、お疲れ」
「ちなみにその間違えられた委員会は?」
「予想、保健委員会。・・・・・・大正解、保健委員です。さすが我らが不運委員会だね」
文次郎は頭を抱えた。
目を擦ってあくびをする姿にはまだ幼さが残っていて、彼も同い年で、まだこの学園の生徒である子供なんだと感じる。
「もう寝な、文次郎。後は任せて」
くノ一教室は先生が足りないから、学年が上がるにつれて自習時間が増える。
一年生の頃から空いた時間に会計委員や、他の忙しそうな委員会を手伝っているから慣れていた。
「私は明日自習だし、何なら明日も手伝えるから」
そう言って眠そうな文次郎の顔をのぞき込む。
ぱっと目があって、彼は飛び退いた。
「だ、だから不用意に近寄るんじゃない!」
「はいはい、ごめんごめん」
「俺もやるから、よこせ」
そんなことを言いつつもすぐに瞼が閉じて、彼は座ったまま寝てしまったようだ。
「お休み、文次郎」
くノ一教室の装束は半袖で肌寒いが、寝不足の彼の方が風邪を引く可能性がある。
私は羽織っていた上着を掛けてやった。
自分たちの委員会だからと言ってえこひいきはせずに、むしろ自分の委員会だからこそ切り詰められるところは極限まで切り詰めた予算を組む。
学園全体の帳簿の修正もするが、予算は足りなかった。
どの委員会もギリギリまで減らしているのに、これ以上どうすればいいんだ。
私は文次郎や、歴代会計委員会委員長に敬服した。