第1章 始業式
いっこうに立ち去ろうとしない私を眠そうな声で追い出そうとした。
「手伝いに来た。くノ一なんだから一日くらい徹夜したって大丈夫だよ。文次郎はもう三日目でしょう、手伝うのなんてしょっちゅうなんだからだいたい作業は分かってる。早く寝てよ、君が」
「・・・・・・相変わらず保健委員会は甘っちょろいな。後少しで終わる。だから寝ろ」
「で、どの委員会の予算に悩んでいるの」
文次郎の言い分など完全に無視して隣に座る。
相当疲れているのか、彼の反応は遅れた。
「・・・・・・はあ?!隣に座るな、気が散るだろうが」
「はいはい、交代。君が私の隣にいたくないのは分かったから、正面の机に座ってご飯でも食べてて」
私は文次郎の方に体重をかけて無理矢理退かせようとする。
「・・・・・・触るな!」
「だったら退きなさいよ。酷いなあ手伝ってやるって言うのに」
「分かったから、全く・・・・・・」
彼は渋々その場を退いて、正面の机に移動した。
ぶつぶつと長い、彼の食事前の挨拶を聞き流し、帳簿をざっと眺める。
「ははー、体育委員会か。こりゃあじかんかかるね。・・・・・・文次郎、字、綺麗だね」
「うるさい、やるならさっさとやれ」
「はいはい失礼、地獄の会計委員会委員長様」