第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
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思いついた言葉を打っては、消去ボタンを連打するの繰り返し
どの話題も過去の履歴から分かる通り、もう使ってしまっている
もうかれこれ一時間もラインのトーク画面とにらめっこしていた
勝己くんと話した後から胸の奥にじめじめとしたわだかまりが残っている気がする
好きだから、触れたい
でも…啓悟くんは私のことを好きと言ってくれたけれど
お別れの日少し触れただけ、轟くんのように触れたことはなかった
聞きたい、啓悟くんはどうして私に触れなかったの??
それって……
全部閉じ込めるようにスマホを胸に抱き、軽くため息を吐く
もっと簡単に、思ってることを伝えられればいいのに
『…会いたいよ』
最近になって啓悟くんとはビックリするほど電話は愚かラインでのやり取りも大してしていない
雄英に来る前から啓悟くんの出張が増えたり忙しそうなのは見ていてわかっていたけど…
会話をそれ以上引き延ばそうとはしない返信ばかりに胸がモヤモヤする。…ひょっとしたらずっと前から私の存在にウンザリしていて…これを機に関係を絶ちたいというものではないだろうか
私はスマホをクッションに放り投げて、姿勢を崩さずベットにダイブする。わかってる、啓悟くんがそんな事を思うような人じゃないことくらい
でも…それでも
『…悲しいって言ってたくせに…うそつき』
枕に顔を埋めて、瞼を閉じて視界を遮る
電話だって、会いたいって言えば彼は必ず来てくれる
けれどしたくない、出来ない
私には啓悟くんに甘えたいのと同じくらい
自分の力で助けたい相手が出来てしまったから