第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
彼は私の顎を掴み上げ再度キスを落とす。ボンッ!!と顔を赤くさせると勝己くんは満足そうにニヤァと口角を釣り上げる
「茹でダコかよッ」
勝己くんは私から体を起こして、手を差し伸べ起き上がらせてくれる。繋いでる手の部分を変に意識してしまい、離れたあとも熱が充満しているように感じた
勝己くんを…こんな風に意識したことなかった
轟くんを前にしたときととても近くて、似ている
「帰ンぞ、送ってやっからささっとしろや」
『え、自主練もういいの??』
「気分乗んねぇだよ、今日は止めだ」
彼は私を置いてズカズカと歩き始める。慌ててその背中を追おうと足を上げたとき、ふと動きを止め立ち止まる
___________________私の本当の、気持ち
心のなかで強く念じるように彼の名前が呼ぶ
ソワソワしながらもじぃっとその背中を見つめる
すると眉間にシワを寄せたまま顔がこちらに向けられる。ズボンのポケットに両手を突っ込んだ姿は相変わらず様になっていた
「いいから早くしろって言ってンだろうがッ」
_____きっと、大丈夫
私は止めていた足を動かし、彼の影の隣に自分の影を並べる。隣に立つ勝己くんの影は私のよりうんとずっと大きくなっていた
『送るって言ったけど、勝己くんの家私の家と反対じゃない…?』
「関係ねぇ、黙って送られてろ」
無愛想な言葉とは裏腹に、柔らかい表情に心が踊っていくのが分かる
その日の帰り道は何も、考えずに済んだ