第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
私は拙い口調で、ところどころ端折りながら轟くんとの間に起こったことを説明していく
初めて出逢った時から、轟くんがたまに私に触れてきたことを
…今朝の電車でのことは流石に恥ずかしくて言えなかった
勝己くんは砂を噛んだような不快な表情を浮かべながらも最後まで聞き耳を立ててくれた
『…轟くんがね、前に私といると温かくて安心するって言ってくれたの
ひょっとしたら私に触れると安心するって…ことなのかなって思って…』
私は恐る恐る口にし、上目に彼の顔を窺う
勝己くんは私と同じように地べたに座り込み、片膝を立てさせている
って!私とんでもないこと言ってるんじゃ…!?
今度こそ癇に障ったのか乱暴に手首を掴まれる
『ご、ごめん!今の忘れ…』
「だったら…アイツの言ってることが本当か確かめる必要があるよなァ?」
「オレにも触らせろ」
燃えるような赤瞳が私を射抜くように見据えている
静かに燃えゆる炎が確かにそこにあった
勝己くんは私の後頭部に手を回し、以前と同じように力強く引き寄せる。前と違うのは、彼の様子が前よりもピリついていて、啓悟くんの羽根がここにはないこと
あっという間に二人の唇の間に隙間はなくなり
ぴったり重なり、粘着質なくらい擦り合わせられる
突然のことに体が反応し、身体を強張らせる
勝己くんは唇を少し離したところで「力抜けッ」と呟き、再び唇を押し付けてくる。彼のキスは近付いたと思えば、遠ざかったりとお互いの唇を確かめるように動かす
唇を交わしながら、勝己くんが私に覆いかぶさるように倒れる
彼は私を組み敷いた状態のまま、唇を離し私の首元に顔を埋める。首筋に軽いキスをいくつも落とされていき、その度にゾクゾクとする感覚に襲われる
『…キス初めてだったのに…//』
ポツリと呟いた私の言葉に勝己くんが首元から顔を上げてぶっきらぼうに言う
「知っとンわ、だから奪ったんだろ」
勝己くんは再び私の唇を奪い、今度は優しく撫でるようなキスをしてくれる。それはとても長くて、中々離れない
勝己くんの左手が私の胸を乱暴に鷲掴む。薄目になりかけていた瞳が強い刺激により見開かれ、声を上げそうになったけれど彼の唇によって吸収される