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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞


《轟side》


…なんかよくわかんねぇが怒らせちまった

原因を聞く前に電車がやってきてオレたちは自然と黙る
…きついな
乗り込んだ電車はいつもより混んでいて息をするのもやっとだった
隣でもみくちゃになってる 秋月 も困ったように顔を顰めている

電車が動き出し、より状態は悪化する
揺れた拍子に 秋月 はバランスを崩し、奥へと流れていってしまう


『ッ 秋月 』


随分離れたな…
オレの位置から 秋月 にかなり距離がある
そっちに行くには次の駅まで粘るしかねぇ

オレは口パクで言葉を送る

(だ、い、じょ、う、ぶ、か)

秋月 は何度も頷いて同様に口を動かす

(う、ん、も、ん、だ、い、な、し!)


ニコッと笑う 秋月 は本当になんてことない様子に見えた
でもその時気付いちまった

秋月 の周りを囲っている野郎達が 秋月に視線を寄越していることに
その視線はとても良いものじゃなく、やらしく下心全開のもんだった

電車の揺れをいいことに 秋月 に擦り寄って匂いを嗅ぐ仕草を見せる

小さく舌打ちをする
秋月 の瞳は不安気だが決して顔に出さないようにしている
オレに余計な心配をかけさせないためだろう
…氷漬けじゃ済まさねぇ…


もうすぐで次の駅に到着しそうになったとき
秋月 が分かりやすく体を跳ねらせる

先程まで貼り付けていた笑みも徐々に薄れていき、顔を青ざめさせ俯いていく

気になって目を凝らすと背後に立っていた男との距離が近付いている。よく見えねぇが男の左手がモゾモゾと動いている
…ま、さか


オレはいても立ってもいられなくなり人混みを躊躇なくどかして前に進んでいく。スカートの端をギュッと掴んでいる彼女の手を強引に奪い取り上に上げる

秋月 は驚いたように顔を上げる
その瞳はうっすら涙が浮かんでおり、オレを見て安心したように一滴溢す

ますます怒りが湧いてきて、目の前の奴ら全員を睨みあげると 秋月 は制止するように首をふるふると振った
…今はコイツらより 秋月 のほうを優先しねぇと


『…まだその腕を動かし続けてぇなら気を付けろ
次は一生使いもんになんねぇ体になるぞ』
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